塩づくりにはいくつかの方法があり、現在日本で作られているお塩のほとんどは「イオン交換膜法」と呼ばれる工業的製塩方法です。わかりやすく説明すると電気分解によって海水に含まれている塩化ナトリウム(塩分)以外のミネラル成分を取り除く製法で、塩化ナトリウム純度が約99%のお塩を製塩することができます。
それに対し、しお学舎の製塩方法はまったくの逆。
海水を煮詰めることで水分を飛ばし、塩分を含め、海水に含まれているミネラル成分も残す製法です。
一般的には平釜式と呼ばれる鍋状の浅い釜で煮詰める方法が多い中、しお学舎は独自の立釜と呼ばれる真空釜を使用し、約40℃という低温でじっくりと煮詰めてお塩を精製する方法をとっています。
この製法では、海水に含まれる様々な成分を全て濃縮してしまいます。そのため原材料には、綺麗な海水を使用することが大前提です。
そこで尾鷲しお学舎では、工場や住宅地・河川による汚染の影響を受けずらい、光すら届かない尾鷲の沖合に広がる深海415mから取水した、清浄性と富栄養性に優れた"みえ尾鷲海洋深層水"だけを使用しています。
まず海水を煮詰めて濃い塩水(かん水)をつくる作業です。
しお学舎の採かん作業は、空気のない真空の釜でお風呂のお湯程度の温度約40〜42℃という低さで煮詰めていき、海水の塩分濃度3.4%を約18〜24%まで濃くします。また、真空の釜を活用することで燃焼効率もよく、環境にもやさしい製法です。
採かん作業で採れた濃い塩水(かん水)をさらに煮詰めていくことで塩の結晶をつくる作業です。 しお学舎では煎ごう作業においても、空気のない真空の釜を利用し、約60℃前後でかん水(濃い塩水)を煮詰めて塩の結晶を作ります。 塩分濃度約26%を超えてくると、塩の結晶が生まれだします。 どの塩分濃度で塩を取りだすかによって、塩の量、味、ミネラルバランスなど大きく変わってきます。 ここが塩づくりにおいて非常に大切なところで、塩のすべてはここで決まってしまうと言っても過言ではありません。
煮つめることで結晶化が始まった海水を一晩寝かし、分離機(脱水機)にかけます。 ぐるぐると回すことで、塩とにがりに分けます。
分離した塩を焼釜に入れ、焦げないようにまぜながら火をかけて水分を飛ばします。 焼きがまで仕上げた塩は、さらさらとした状態に仕上がります。
常温でゆっくり自然に乾燥させます。 自然乾燥では完全に水分がとれないので、塩の中にミネラルを含んだ水分が残っているしっとりとした状態の塩に仕上がります。
出来上がったお塩を、衛生的で湿度調整をおこなっている検査室で、今や塩の検査職人と呼ばれる地元のおばちゃんたちが目を凝らして検査しています。
商品が出来上がり、私たちしお学舎の出荷場(元校長室)にて製品の最終チェックをおこない、みなさんのもとにお届けします。
三重県南部にある尾鷲市にある小さな漁村で
廃校となった木造校舎を活用して「みえ尾鷲海洋深層水」から塩を作っています。
そうして生まれた"しお学舎の塩"と地域の特産品を活かした新たなモノづくりに取り組んでいます。
尾鷲しお学舎校長 尾上 和寿